研究内容

【実験装置】

-分子線エピタキシー(MBE)成膜装置(1111系専用機)-
分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)装置とは、真空蒸着の最高峰に位置する成膜法といえます。 成膜チャンバー内には、蒸着源およびその加熱装置(k-cellと呼ばれる)が複数設置されており、それらを同時に加熱して、対向位置に設置された基板へ共蒸着する仕組みになっています。 ただし、成膜中はチャンバ全体が液体窒素温度まで冷却されているため、蒸着源は雰囲気を作らず、むしろビーム状の飛程を描いて基板へ到達するよう設計されています。 これが"Beam"の名を冠する所以です。 さらに高エネルギー電子線による反射電子回折(Reflection high energy electron difraction : RHEED)を成膜中にモニタできるようになっており、 薄膜の結晶状態をチェックしながら成膜可能です。 我々は、このMBE装置を駆使して、鉄系超伝導体の一種LnFeAs(O,F)(1111系と略称される)の成膜に取り組んできました。 本装置は、1000を超える高品質Fe1111薄膜を生み出してきた実績あるチャンバです。




-分子線エピタキシー(MBE)成膜装置(122系専用機)-
2代目MBE装置です。本装置は二つの成長チャンバが連結されており、真空を破ることなく行き来できるよう設計されています。 このためk-cellの数を多く設置でき、より広い物質選択のもとで成膜できるようになっています。このチャンバでは、鉄系超伝導体の中でもAEFe2As2(122系と略称される)の成膜を行っています。 1111専用機と比べてまだ若手ですが、こちらもバリバリ成膜中です。










-強磁場マグネトロンスパッタ装置-
スパッタリングとは、Arなどの不活性な物質をターゲット(薄膜にしたい材料)に叩きつけ、 その衝撃によって飛び出したターゲット原子を基板に堆積させる成膜技術であり、工業的にも広く用いられている手法です。 なかでもマグネトロンスパッタリングは、強電場によってプラズマ化した不活性ガスを、磁石を用いてターゲット近傍に凝集させる工夫を施したもので、 通常のスパッタと比べて高真空でのスパッタが可能となり、スパッタレートが向上するため、広く利用されています。
しかし、我々の装置は一味違います。磁場発生源に着磁した高温超伝導体を用いることにより、従来のスパッタ装置と比べて約20倍も強い磁場を利用可能なのです。 この「超強磁場」によってプラズマ密度が劇的に増し、従来型に比べ多くのアドバンテージを得ることができます。たとえば、
1. 従来に比べて成膜速度が大きく向上するばかりか、さらなる高真空でも成膜が可能です。
2. ターゲット-基板間距離を長く取れるようになり、膜へのダメージが抑えられ、高品位薄膜が期待できます。
3. 逆にターゲット-基板間距離を短めに取ることにより、より強いプラズマ活性を利用でき、強力な反応性スパッタも可能となります。
ただし、磁石部分の超伝導状態を常に保つ必要があるため、常に冷凍機に連結しておく必要があります。 停電が天敵なのです。



-電子物性測定装置 PPMS-
Quantun Design社製PPMS (Physical Property Measurement System)は、2~400 Kの温度と 0~9Tの磁場下での測定に対応しており、電気抵抗,磁気抵抗効果等の測定に使用されます。 低温、強磁場を手軽に得ることができる夢のマシンです。 Thermal Transport Optionも導入しており,ゼーベック係数,熱伝導度の測定も可能です。また、自作の測定機器や 別種測定器と組み合わせることで,独自の測定をすることも可能です。少々古いですが、まだまだ現役で頑張ってます。







-磁気特性測定装置 MPMS-
Quantum Design社製MPMS(Magnetic Property Measurement System)には、SQUID(Superconducting QUantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)が組み込まれており、 測定するサンプルに磁場(0~7T:テスラ)をかけながら、温度を2~400 Kまで変化させ、磁化の温度依存性、磁場依存性測定する装置です。 この装置にはHeの再凝縮装置が装備されており、液体Heのトランスファをする必要がありません。便利ですね。
こちらも相当古いですが、現役バリバリです。



-電子線プローブ顕微解析装置 EPMA-
EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)は、試料に電子を照射することにより発生する反射電子および特性X線を測定する装置です。 本来は
1.走査電子顕微鏡 SEM(二次電子線を検出することにより、試料の凹凸を観測する)
2.構成元素分析(特性X線を検出し、試料中に含有されている元素を特定する。その強度比を調べることで、構成元素の割合を定量的に決定可能)
3.状態分析(特性X線を波長分解して検出し、試料中の電子の結合状態や価電子帯の情報を得ることができる)
の3機能を備える機器ですが、最近では2の用途としての使用がほとんどです。毎日必ず使用される装置で、ヘビーユーズに耐えるとても良い子です。



-原子間力顕微鏡 AFM-
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope; AFM)は、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope; SPM)の一種です。 試料表面とカンチレバー先端の探針との間にかかる原子間力をレーザー光で検出し、 原子間力が一定になるよう試料・探針の 距離を制御しながら走査することで、試料表面の三次元形状を測定できます。